化学工場では、「化学成分が強く微生物処理にかけられない」「凝集剤が効かずCODが下がらない」「廃液の外部委託コストが重い」など、排水処理に苦慮するケースは少なくありません。
このページでは、化学工場特有の排水課題を整理し、オゾン排水処理システムによる解決事例とその仕組みを紹介します。
実例を先に確認したい場合は、化学工場へのオゾン排水処理事例へお進みください。
化学工場では、排水に含まれる化学物質の種類・濃度に応じて、以下の3つの工程を組み合わせながら処理を行います。
強酸・強アルカリ性の廃液は、そのまま処理設備に流すと腐食が発生するため、まず中和処理を行います。化学工場では、引火性のある溶剤成分の分離(防爆対策)や重金属の不溶化処理、比重差を利用した油水分離もこの段階で行います。
凝集剤で水中の汚れを固め、沈殿・分離します。活性炭の微細な孔に化学物質を吸着させて除去する方法も用いられます。
ただし、低分子の水溶性化学成分(界面活性剤や一部の溶剤など)は凝集剤に反応しにくく、十分に除去できないケースがあります。また、活性炭吸着も飽和のたびに交換が必要となり、ランニングコストが高くなる傾向があります。
微生物に有機物を食べさせて分解する処理で、食品工場排水などの一般的な有機物に有効です。合成化学物質や溶剤など、微生物が分解できない成分は処理しきれません。
化学工場では、難分解性物質や水溶性の化学成分により、既存の排水処理では基準値を満たせないケースがあります。ここでは、化学工場の排水処理で生じやすい3つの課題について整理します。
生物処理(活性汚泥法)の微生物は、自然界に存在しない合成化学物質(溶剤・合成樹脂・界面活性剤など)を分解できません。
また、化学工場では製造品目の切り替え(バッチ処理)により、排水の成分や濃度が日々変動します。想定外の毒性成分が流入すると微生物が死滅し、排水処理機能が停止するリスクがあります。
化学工場の排水には、微生物でも凝集剤でも対応できない水溶性の化学成分や色素が含まれています。凝集剤を大量に投入しても固まらず、排水中にそのまま残留します。
こうした成分は生物分解されないため、BODは低くてもCODだけが高い状態になり、水質基準値を超過するリスクが生じます。
自社設備で処理できない場合の対処法は、活性炭で化学物質を吸着する方法か、廃液をドラム缶に詰めて特別管理産業廃棄物として外部業者へ委託する方法に限られます。活性炭は定期的な交換が必要なうえ、産廃の引き取りにも費用がかかり、ランニングコストが膨らみます。
こうした化学工場特有の排水課題に対し、オゾンの酸化力を活用した排水処理システムの導入が広がっています。
メディア監修
引用元:エンバイロ・ビジョン公式HP(https://www.envirovision.jp/)
エンバイロ・ビジョンが提供するオゾン排水処理システムOZAC(オーザック)は、オゾンを微細なマイクロナノバブルに溶け込ませ、水中に長く留まらせる特許技術を用いた排水処理システムです。微生物では分解できない難分解性物質や水溶性の化学成分をオゾンの酸化力で除去します。
既存水槽への導入が可能で、大規模施設を中心に全国20施設以上※(2026年3月時点)で採用されています。
OZACの導入によって高負荷な排水処理の課題を解決した、ファインケミカルメーカーの事例を紹介します。OZACの提供元であるエンバイロ・ビジョンの技術担当者に、相談から導入、本稼働までのプロセスを伺いました。
インタビューにご協力いただいたのは、エンバイロ・ビジョン株式会社 代表取締役の豊岡 正志氏。
マイクロナノバブル応用技術を軸とした環境ソリューションを20年近く手がけており、オゾン排水処理システムOZAC(オーザック)の開発・提供から導入支援まで一貫して担当しています。
ご相談をいただいた際、多岐にわたる化学製品の製造・洗浄過程で排出される廃液には、難分解性の化学物質が大量に溶け込んでおり、CODは9,000mg/Lという極めて高い数値を示していました。
廃液はクリーム色に白濁しており、既存の凝集剤は反応せず、生物処理の微生物も死滅している状態。高額なコストをかけ、特別管理産業廃棄物として外部へ焼却処分を委託せざるを得ない状況に頭を悩ませておられました。
クリーム色に濁った難分解性廃液を当社ラボへお送りいただき、オゾンマイクロナノバブルを用いた促進酸化処理(AOP)のテストを実施。
オゾンの強力な酸化力(OHラジカル)が強固な化学物質の分子結合を直接破壊し、難分解性のCODが9,000mg/Lから420mg/Lへと低減。色素も分解され、廃液が透明な水へと浄化されました。
| 測定項目(mg/L) | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| BOD | 270 | 21 |
| COD | 9,000 | 420 |
| SS | 120 | 13 |
| 排水色 | クリーム色、濁り(中) | 透明度(中) |
処理水画像に加え、外部機関の分析データをお送りし、効果をご確認いただいた後、本導入が決定。既存水槽のままで廃液の自社処理を実現し、外部委託コストの大幅削減につながっています。
「難分解性物質で微生物が死滅する」「凝集剤が効かない」「外部委託コストが重い」といった化学工場特有の排水課題を、既存水槽のままで解決に導くのが、排水処理システムがOZACです。
ここでは従来の活性汚泥法との違いと、導入メリットを解説します。
従来法は微生物分解のみであるのに対し、OZACはオゾンによる酸化分解と微生物分解を組み合わせることで、化学工場特有の難分解性物質にも対応できる点が大きな違いです。
排水処理で活性汚泥の沈降性が悪化し、沈殿槽で固液分離がうまくいかなくなる状態のこと。汚泥が処理水に混ざって流出(キャリーオーバー)し、処理水質が悪化します。
水中の汚れを微生物に食べさせて分解する仕組みです。人工的な合成化学物質や溶剤は消化できず、毒性の強い成分が流入すると死滅してしまうという弱点があります。
オゾンによる分解(低分子化)
ファインバブル発生装置からオゾンマイクロナノバブルを放出。オゾンの強力な酸化力と、バブルが弾ける際の圧壊作用により、強固な有機物の鎖を微生物が食べやすいサイズにまで低分子化します。
高濃度酸素と
活性炭含有担体による生分解
水中のオゾンが活性炭の触媒反応で高濃度の酸素に変化。この酸素が、活性炭を含有した専用の担体に定着した微生物を極限まで活性化し、低分子化された汚れを生分解します。有害な排オゾンガスが放出されないため、密閉や無害化設備は必要ありません。
AOP+UVによる
完全分解と無色化
曝気槽の後段に促進酸化槽での処理を追加することで、化学成分の処理をさらに完結させることができます。生物処理をすり抜けた極小の難分解性物質や色素成分に対し、オゾンマイクロナノバブルとUV(紫外線)を掛け合わせた促進酸化処理(AOP)を実施。強力な酸化力を持つOHラジカルが、残存する汚れを水と二酸化炭素にまで完全分解します。高度な脱色と殺菌も同時に行い、厳しい放流基準をクリアする無色透明な処理水へと仕上げます。
オゾンとUV(紫外線)を組み合わせた促進酸化処理(AOP)により、微生物では分解できない難分解性物質や色素まで分子結合を破壊して分解。凝集剤や汚泥の引き抜きに頼らず、外部委託していた廃液も自社内で処理できます。
強い酸化力を持つオゾンを微小な気泡(マイクロナノバブル)に含めて水中に滞留させることで、連鎖反応が発生。強力なOHラジカルが生成されます(促進酸化処理:AOP)。
OHラジカルは、微生物では分解できない界面活性剤やフェノール類、各種溶剤、合成染料などの分子結合を直接破壊・切断し、無害な低分子へと分解。同時に、着色成分の脱色も進みます。
水槽内に、微生物の付着基材となるブロック(活性炭含有担体)を流動させます。ブロックに含まれる活性炭が、オゾンで低分子化された汚れを吸着。内部に密集している微生物が、吸着した汚れを効率よく分解します。
オゾンによる低分子化と微生物による生物分解を組み合わせることで、薬品投入や汚泥引き抜きの負担を抑えます。
水槽の増設や、全面的な設備の入れ替えは不要。既存の水槽を活用し、オゾン発生装置とノズルを後付けする構成です。工場の稼働を止めることなく導入でき、外部委託費の削減につながる「自社内での処理体制」を構築できます。
OZACを提供するエンバイロ・ビジョンでは、実際の排水を用いたサンプルテストに対応しています。処理後の水質は外部機関の分析データとともに提供されるため、導入効果の事前確認や、社内稟議の判断材料として活用できます。
排水サンプルテストは、下記よりお申し込みいただけます。
日本の産業を支える水。しかしその裏側では、終わりのない薬剤投入や高騰する産廃コスト、そしてGX-ETSの義務化が重なり、排水処理は多くの企業にとって無視できない経営課題になりつつあります。
当メディアは、既存設備を活かしながら薬品・汚泥レスを実現する次世代の「オゾン排水処理システム」を、業種ごとの課題と導入事例を通じて伝えていくメディアです。この技術は、単なるコスト削減にとどまらず、環境負荷の低減と企業の成長を両立させる排水処理の転換点になると私たちは考えています。排水処理の常識を変えるこの技術を、一社でも多くの企業に届けていきます。