発電所の排水処理では、「難分解性のCODが下がらない」「排水の着色が抜けない」「規制強化に対応したいが増設スペースがない」など、従来の処理方法では対応しきれない課題を抱える現場が増えています。このページでは、発電所特有の排水課題を整理したうえで、オゾン排水処理システムによる解決の事例とその仕組みを紹介します。
事例を先に確認したい場合は、発電所へのオゾン排水処理事例へお進みください。
発電所では、発電プロセスごとに性質の異なる排水が発生するため、高度な排水処理が必要になります。ここでは、排水を大きく3つの系統に分け、それぞれの特徴と処理方法を紹介します。
排ガスを浄化する装置から発生する排水です。排水系統によって含まれる成分は異なりますが、脱硫排水ではホウ素やフッ素などが課題となるケースが見られます。これら無機物は、薬剤を用いた凝集沈殿処理などの物理化学的処理により、沈殿・分離させます。
燃焼後の灰を処理する際に発生する排水です。有機物を含む排水は生物処理(活性汚泥法)で分解しますが、近年はバイオマス燃料の利用拡大に伴い、木質由来の難分解性有機物が溶け出すケースが増加。従来の生物処理では分解しきれず、CODが基準値を超えたり、着色が残る原因となっています。
設備のスケール(水垢)を防ぐため、濃縮された不純物を排出するボイラーブロー水や、蒸気を冷却した後の冷却水などが該当します。この排水では、防食剤などの影響によるpHの偏りや、高温での排出が課題です。
そのため、中和処理や冷却設備で温度の低減を実施。熱汚染などの生態系への影響を防ぎ、放流基準を満たした上で、河川や海域へ排出します。
発電所の排水処理では、難分解性物質や着色成分の影響により、従来の処理では対応が難しい課題が発生します。現場でよく見られる3つの課題を解説します。
木質バイオマスや石炭から溶け出す有機物(リグニンやフミン酸など)は、自然界の微生物では分解されにくい難分解性物質です。生物処理(活性汚泥法)では分解されずに通過してしまうため、BOD(生物化学的酸素要求量)は低くてもCODだけが下がらない状態になります。
石炭灰やバイオマス灰の処理プロセスで発生する排水は、茶褐色や黒褐色に着色していることがあります。
燃焼工程で分解されなかった木質由来のリグニンやタンニン、石炭由来のフミン酸などの難分解性有機物が、水に溶け出していることが主な原因です。凝集沈殿処理では色素を十分に除去できず、放流先の景観に影響が出ます。
水質汚濁防止法や、各自治体の上乗せ基準は年々厳しくなっています。発電所の敷地内には既存の大型プラント設備が多く、新たな水処理施設(巨大な沈殿槽や曝気槽など)を設置するための用地確保が困難です。
こうした発電所特有の排水課題に対し、オゾンの酸化力を活用した排水処理システムの導入が広がっています。
メディア監修
引用元:エンバイロ・ビジョン公式HP(https://www.envirovision.jp/)
エンバイロ・ビジョンが提供するオゾン排水処理システムOZAC(オーザック)は、オゾンを微細なマイクロナノバブルに溶け込ませ、水中に長く留まらせる特許技術を用いた排水処理システムです。生物処理では分解できない難分解性CODや着色成分をオゾンの酸化力で破壊・除去します。
既存水槽への導入が可能で、大規模施設を中心に全国20施設以上※(2026年3月時点)で採用されています。
木質バイオマス燃料の混焼率増加に伴い発生した「灰処理水の高濃度COD」を除去した発電施設の事例を紹介します。エンバイロ・ビジョンの技術担当者に、相談から導入、稼働までのプロセスを伺いました。
インタビューにご協力いただいたのは、エンバイロ・ビジョン株式会社 代表取締役の豊岡 正志氏。
マイクロナノバブル応用技術を軸とした環境ソリューションを20年近く手がけており、オゾン排水処理システムOZAC(オーザック)の開発・提供から導入支援まで一貫して担当しています。
WEBからご相談を受けて現地確認を行ったところ、カーボンニュートラルに向けた木質バイオマス燃料の混焼率増加による課題に直面されていました。バイオマス由来の有機物(リグニンなど)が灰処理水へ溶出し、既存の処理設備では除去しきれない難分解性の高濃度CODが発生している状態です。
基準値をクリアするためには、大規模な生物処理設備の新設や、膨大な薬剤の連続投入を検討せざるを得ない状況でした。
大規模な設備投資を伴わない方法として、オゾン排水処理システムOZACを提案しました。実際のバイオマス由来の排水を用いた実証テストでは、CODを200mg/Lから38.1mg/Lまで低減しています。
| 測定項目(mg/L) | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| COD (薬品で測る有機物量の指標) |
200 | 38.1 |
提出したデータに加え、既存の水槽をそのまま活用できる省スペース設計が評価され、導入に至りました。発電プロセスへの影響なく既存設備へ組み込まれ、難分解性排水を低コストかつ安定的に処理しています。
難分解性CODが下がらない、色が抜けない、増設スペースがないという発電所特有の排水課題を、既存水槽のままで解決に導く排水処理システムがOZACです。
ここでは、活性汚泥法との違いや導入のメリット、具体的な導入手順を紹介します。
従来法は微生物分解のみですが、OZACはオゾンによる酸化分解と微生物分解を併用している点が大きな違いです。
排水処理で活性汚泥の沈降性が悪化し、沈殿槽で固液分離がうまくいかなくなる状態のこと。汚泥が処理水に混ざって流出(キャリーオーバー)し、処理水質が悪化します。
水中の汚れを微生物が分解する処理方式です。しかし、自然界の微生物では分解されにくい難分解性物質(リグニンなど)は通過してしまい、CODが下がらない原因となります。
オゾンによる分解(低分子化)
ファインバブル発生装置からオゾンマイクロナノバブルを放出。オゾンの強力な酸化力と、バブルが弾ける際の圧壊作用により、強固な有機物の鎖を微生物が食べやすいサイズにまで低分子化します。
高濃度酸素と
活性炭含有担体による生分解
水中のオゾンが活性炭の触媒反応で高濃度の酸素に変化。この酸素が、活性炭を含有した専用の担体に定着した微生物を極限まで活性化し、低分子化された汚れを生分解します。有害な排オゾンガスが放出されないため、密閉や無害化設備は必要ありません。
AOP+UVによる
完全分解と無色化
曝気槽の後段に促進酸化槽での処理を追加することで、発電所特有の難分解性COD(リグニンなど)や着色成分のさらなる高度処理が可能になります。生物処理をすり抜けた極小の難分解性物質や色素成分に、オゾンマイクロナノバブルとUV(紫外線)を掛け合わせた促進酸化処理(AOP)を行うことで、残存する汚れを水と二酸化炭素にまで分解。高度な脱色と殺菌も同時に行い、厳しい放流基準をクリアする無色透明な処理水へと仕上げます。
オゾンで汚れの分子構造を破壊し、微生物が分解しやすいサイズにまで低分子化。凝集剤に頼らず汚れを処理でき、汚泥の引き抜きも不要です。
強力な酸化力を持つオゾンを直径100μm未満の気泡(ファインバブル)に含め、水中に長時間滞留させる排水処理システムです。
微生物では分解できないCOD原因物質(リグニンなど)や着色成分を、オゾンが酸化・分解。薬剤の連続投入や大規模な設備投資に依存せず、安定して排水基準をクリアできます。
微細な孔を持つ活性炭含有担体を水槽内で流動させ、オゾンで低分子化された汚れを素早く吸着します。
担体内部に高濃度で保持された微生物が分解を進めるため、水質や水量の変動に強い処理方式です。燃料比率の変更などで高負荷排水が発生する発電所でも、基準値超過を抑え、管理負担の軽減につながります。
大掛かりな水槽の増設や、総入れ替えは不要です。既存の曝気槽や調整槽を活用し、オゾン発生装置とノズルを追加するだけでシステムを構成できます。
発電所のプロセスを停止せず、限られたスペースで設備を高度化することが可能です。
OZACを提供するエンバイロ・ビジョンでは、実際の排水を用いたサンプルテストに対応しています。処理後の水質は外部機関の分析データとともに提供されるため、導入効果の事前確認や、社内稟議の判断材料として活用できます。
排水サンプルテストは、下記よりお申し込みいただけます。
日本の産業を支える水。しかしその裏側では、終わりのない薬剤投入や高騰する産廃コスト、そしてGX-ETSの義務化が重なり、排水処理は多くの企業にとって無視できない経営課題になりつつあります。
当メディアは、既存設備を活かしながら薬品・汚泥レスを実現する次世代の「オゾン排水処理システム」を、業種ごとの課題と導入事例を通じて伝えていくメディアです。この技術は、単なるコスト削減にとどまらず、環境負荷の低減と企業の成長を両立させる排水処理の転換点になると私たちは考えています。排水処理の常識を変えるこの技術を、一社でも多くの企業に届けていきます。