微生物を活用した排水処理(活性汚泥法)は、多くの工場・施設で採用されている一方、水温やpHの変動、油分の流入、バルキングなど処理が不安定になるトラブルも少なくありません。このページでは、微生物処理の基本的な仕組みから、処理不良の原因と具体的な解決策までを整理します。
排水中に含まれる汚れ(有機物)を微生物がエサとして食べ、分解することで水を浄化します。この仕組みを利用した処理方法を「活性汚泥法(かっせいおでいほう)」と呼びます。
活性汚泥とは、汚れを分解する多様な微生物が集まった泥状の塊です。水槽内へ空気を送り込む(曝気)ことで、酸素を必要とする好気性微生物が活動しやすい環境を維持します。
微生物は有機物を分解しながら増殖し、浄化後の上澄み水は河川や下水道へ放流されます。沈殿した汚泥の一部は、処理槽へ戻して再利用することが可能。増えすぎた分は余剰汚泥として引き抜き、産業廃棄物として処分します。
物理的・化学的な処理方法と比較して、微生物を用いた生物処理には以下のようなメリットがあります。
自然界に存在する様々な微生物が混在しているため、食品工場から出る汚れから生活排水まで、多種多様な有機物(汚れ)を分解可能です。油分や洗剤、食品カスなど複数の汚れが混ざった排水でも、微生物の種類が多いため一括で処理できます。
日常的にかかるコストは、ブロワ(送風機)の電気代が中心です。凝集剤を大量に使う処理方法と比べて、ランニングコストを抑えやすくなります。
生物処理はコスト面で優れていますが、微生物自体が生き物であるため、管理が難しいというデメリットがあります。
微生物が安定して活動するには、適切な水温(一般的に20〜37℃前後)と、中性付近のpH(7付近)※が必要です。工場から高温の排水や、強い酸性・アルカリ性の排水が流入すると、微生物の酵素反応が阻害されます。その結果、活動が低下し、死滅する場合があります。
生産ラインの洗浄などで高濃度の排水が一気に流入すると、微生物の処理が追いつかず、水質が悪化して排水基準を超過するおそれがあります。
微生物のバランスが崩れて糸状細菌などが異常に増殖すると、汚泥が沈まなくなる「バルキング」が発生します。沈まない汚泥は処理水に混じってそのまま流出するほか、槽内に酸素が行き渡らなくなることで腐敗が進行。悪臭の原因にもなります。
「水が濁っている」「臭いがきつい」「汚泥が沈まない」といった異変が起きた場合は、まず以下の基本数値を確認し、一次対応を行います。
こうした基本管理で改善できるケースもありますが、生物処理には構造的に対応しきれない問題もあります。
基本管理だけでは改善が難しい、微生物処理特有の課題と対策を整理しました。自社の現場に該当するケースがないか確認してください。
有機物汚れの指標であるBODが下がらない場合、曝気不足や負荷変動による微生物の処理能力低下が疑われます。BODを安定して低減させたい場合、処理プロセスの見直しが必要です。
BODは下がっているのにCODが下がらない場合、生物分解しにくい有機物が排水中に残存している可能性があります。この場合、強力な酸化処理など別のアプローチが求められます。
排水に動植物油や鉱物油が大量に混入すると、微生物の表面が油膜で覆われます。その結果、酸素や栄養の取り込みが阻害され、処理能力が低下します。
ノルマルヘキサン抽出物質(n-Hex)の基準値超過を防ぐには、生物処理の前段階で油分を除去する前処理が必要です。油分を含む排水の処理方法については、以下のページで詳しく確認できます。
ジオキサンなどの難分解性物質が排水に含まれている場合、微生物では十分に分解できず、生物処理を通過するおそれがあります。そのため、物理化学的処理や酸化処理の併用が必要です。
一度重症化したバルキングは、空気量やpHの調整だけでは改善しません。糸状細菌の増殖を抑え、沈降性を回復させるには、根本的な対策が必要です。
生物処理では、汚れを分解した微生物が増殖し、余剰汚泥が継続的に発生します。産業廃棄物としての処分費も年々増加しており、コストを抑えるには汚泥の発生量そのものを減らす必要があります。具体的な汚泥削減の方法は、以下のページで詳しく確認できます。
微生物処理の限界に直面した場合、別のアプローチで補完・代替する方法が選択肢になります。ここでは3つの方法を整理します。
生物処理の前工程に凝集沈殿を追加して負荷を下げる、あるいはその後の工程に活性炭吸着を追加して残留汚れを除去する方法です。既存の生物処理設備を活用できる点はメリットですが、薬品費や汚泥処分費、活性炭の交換費用などのランニングコストが新たに発生します。
生物処理の沈殿槽を精密ろ過膜に置き換えることで、処理水質を向上させる方法です。省スペースで高水質を維持できますが、膜の目詰まり対策として定期的な薬液洗浄が必要。高価な膜の交換コストが継続的にかかります。また、難分解性物質そのものの分解には対応していません。
オゾンや過酸化水素などの強力な酸化力を持つ物質で、汚れの分子結合を直接破壊する方法です。ジオキサンなどの難分解性物質の分解、脱色・脱臭、COD低減に対応できます。薬品・汚泥が不要な点が特徴です。
この酸化処理として、近年工場排水の現場で導入が進んでいるのが、オゾンとマイクロナノバブル技術を組み合わせたオゾン排水処理「OZAC(オーザック)」です。
ここでは、従来の活性汚泥法とOZACの排水処理の仕組みを比較し、それぞれの特徴と違いを整理します。
排水処理で活性汚泥の沈降性が悪化し、沈殿槽で固液分離がうまくいかなくなる状態のこと。汚泥が処理水に混ざって流出(キャリーオーバー)し、処理水質が悪化します。
活性汚泥法は微生物の力に依存する処理方式のため、ここまで挙げてきた水温・pHの変動、負荷変動、バルキング、難分解性物質、油分の流入といった課題が、構造的に発生し続けます。基準値を満たせない場合は前後に凝集剤処理を追加する必要があり、運用の不安定さとランニングコストの増加が並行して進むのが、活性汚泥法を継続する現場の実情です。
オゾンによる分解(低分子化)
ファインバブル発生装置からオゾンマイクロナノバブルを放出。オゾンの強力な酸化力と、バブルが弾ける際の圧壊作用により、強固な有機物の鎖を微生物が食べやすいサイズにまで低分子化します。
高濃度酸素と
活性炭含有担体による生分解
水中のオゾンが活性炭の触媒反応で高濃度の酸素に変化。この酸素が、活性炭を含有した専用の担体に定着した微生物を極限まで活性化し、低分子化された汚れを生分解します。有害な排オゾンガスが放出されないため、密閉や無害化設備は必要ありません。
OZACは、オゾンが汚れを低分子化することで、微生物が分解しきれなかった難分解性物質も処理が可能になります。また、汚泥の発生量そのものを抑える仕組みのため、余剰汚泥の引き抜きや産廃処分費の継続発生もありません。
微生物の特徴として避けられなかった負荷変動・バルキング・処理不良といった課題に、悩まされない処理環境を構築できます。
ここまで見てきた微生物処理の課題を、OZACがどう乗り越えたのか。実際の導入現場で得られた測定データを紹介します。
既存の設備では処理が困難だった、高濃度のCODを大幅に低減した測定結果です。
| 測定項目(mg/L) | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| COD | 200 | 38.1 |
高濃度の有機物や油分を含む食品工場排水を、既存水槽を活かしたまま改善。BOD・COD・SS・n-Hexのいずれも大幅に数値が低下しています。
| 測定項目(mg/L) | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| BOD | 500 | 23 |
| COD | 100 | 17 |
| n-Hex | 220 | < 5 |
| SS | 540 | 16 |
メディア監修
引用元:エンバイロ・ビジョン公式HP(https://www.envirovision.jp/)
OZACは、エンバイロ・ビジョンが提供するオゾン排水処理システムです。
特許技術のマイクロナノバブルを活用し、排水・洗浄設備の能力向上など多様な環境ニーズに応えるサービスを提供。稼働実績は全国20施設※(プラント)以上(2026年3月時点)にのぼります。
発電所・食品工場・化学工場をはじめとした、水質管理基準や導入審査が厳しい国内大手企業を中心に採用されています。
実際の排水を用いたサンプルテストに対応しています。処理後の水質は、外部機関による客観的な分析データとともにレポートとして確認できます。導入に向けた社内稟議や、技術的な比較・検討へお役立てください。
日本の産業を支える水。しかしその裏側では、終わりのない薬剤投入や高騰する産廃コスト、そしてGX-ETSの義務化が重なり、排水処理は多くの企業にとって無視できない経営課題になりつつあります。
当メディアは、既存設備を活かしながら薬品・汚泥レスを実現する次世代の「オゾン排水処理システム」を、業種ごとの課題と導入事例を通じて伝えていくメディアです。この技術は、単なるコスト削減にとどまらず、環境負荷の低減と企業の成長を両立させる排水処理の転換点になると私たちは考えています。排水処理の常識を変えるこの技術を、一社でも多くの企業に届けていきます。