活性汚泥を用いた生物処理では、汚泥が沈降しなくなる「バルキング」が発生すると、処理水とともに汚泥が流出し、排水基準を超過するリスクがあります。このページでは、バルキングが起こる原因と放置リスク、原因菌へ直接アプローチするオゾン処理について解説します。
バルキングは、原因の違う2つのタイプがあります。対処方法がそれぞれ異なるため、自社の現場がどちらに該当するかを見極めることが重要です。
| 糸状性バルキング | 非糸状性バルキング | |
|---|---|---|
| 汚泥の状態 | フロックがふわふわして軽く 沈降しにくい |
ゼリー状に水分を抱え込み 水面近くに浮く |
| 原因 | 糸状細菌の異常増殖 | 粘性物質の過剰分泌 |
| 主な引き金 | DO不足、BOD負荷の低下、pHの異常 | 急激な高濃度排水の流入、窒素やリンの不足 |
| 発生頻度 | 高い | 比較的低い |
主な原因は、糸状菌の増殖か粘性物質の過剰分泌です。具体的なメカニズムについて詳しく解説します。
糸状細菌とは、菌体から細い糸を伸ばして増殖するバクテリアです。フロックの間に糸状細菌が入り込むと、汚泥同士が密着できず、スポンジ状の軽い状態となり沈降しなくなります。一度優位に増殖し始めると、DOやBOD負荷、pHを調整しても、糸状菌が減って正常なフロックが戻るまでには時間がかかり、その間も処理不良が続きます。
排水の流入量が処理能力を超えたり、栄養バランスが乱れたりすると、バクテリアが細胞の外側に多糖類などの粘性物質を分泌します。この物質が汚泥全体をゼリー状に包み込み、沈降しにくい状態を引き起こします。糸状性バルキングと異なり顕微鏡で糸状菌が確認できないため、原因特定に時間がかかります。
バルキングへの対処の遅れは、排水基準の超過や産廃費用の増加につながります。
沈降しない汚泥が上澄み水とともに処理槽から流出すると、SS(浮遊物質)やBODの数値が上昇し、排水基準値を超過します。行政指導や改善命令の対象となり、水質改善のための対応コストと対応工数が発生します。
沈降しない汚泥が沈殿槽内で増加すると、汚泥層が上昇し水槽からあふれるリスクが生じます。これを防ぐため、バキューム車を手配し汚泥を引き抜く必要がありますが、引き抜いた汚泥は産業廃棄物としての処分が必要です。バルキングが続くほど引き抜きの頻度は増えるので、産廃処理費用がかさんでいきます。
従来の対策方法にはいくつかのアプローチがありますが、いずれも即効性やコスト面でデメリットがあります。
次亜塩素酸ナトリウムなどの殺菌剤を曝気槽に直接投入し、糸状菌を死滅させる方法です。即効性は期待できるものの、投入量の調整には厳密さが求められます。過剰に投入すると、汚れを分解するバクテリアが死滅し、排水処理機能そのものが停止します。
高分子凝集剤の投入は、沈降しない汚泥に対して強制的にフロックを形成して沈ませる手法です。バクテリアへのダメージは抑えられますが、薬品代が継続的に発生します。また薬品汚泥が発生するため、産廃処理費用が増加します。
曝気量やpHの適正化、栄養剤の添加などにより、バクテリアの生育環境を整えて正常なフロック形成を促す方法もあります。しかし、微生物のバランスが改善されるまでには数週間から1ヶ月程度の期間が必要です。そのため、すぐに汚泥の流出を抑えたい現場には適していません。
殺菌剤は「有用バクテリアの減少」、凝集剤は「産廃コストの増加」、環境調整は「即効性に欠ける」といった課題があります。これらの課題を同時に解決できるのが、オゾンを活用した排水処理です。
水中にオゾンの微細な気泡(マイクロナノバブル)を送り込むと、フロックの表面から伸びた糸状菌に接触します。オゾンの強力な酸化作用により、沈降を妨げる糸状菌だけを分解することが可能です。
フロック中心部の有用バクテリアは外側の汚泥に守られてオゾンが届きにくいため、汚れを分解する機能を維持したままバルキングを改善できます。
オゾンは糸状菌を破壊するだけでなく、余剰汚泥も分解します。汚泥の有機物が小さく分解されると、バクテリアが処理しやすい状態になり、生物分解がさらに進みます。この循環により、バルキングの抑制と余剰汚泥の発生低減を同時に実現できます。
殺菌剤や凝集剤で対応できない課題に対し、既存水槽へ装置を後付けして導入する排水処理システムです。水槽の増設を伴わないため、工場の稼働を停止せずに、バルキングに対応した処理設備へ移行できます。
従来の活性汚泥法とOZACの処理フロー、バルキング発生リスクの違いについて解説します。
排水処理で活性汚泥の沈降性が悪化し、沈殿槽で固液分離がうまくいかなくなる状態のこと。汚泥が処理水に混ざって流出(キャリーオーバー)し、処理水質が悪化します。
オゾンによる分解(低分子化)
ファインバブル発生装置からオゾンマイクロナノバブルを放出。オゾンの強力な酸化力と、バブルが弾ける際の圧壊作用により、強固な有機物の鎖を微生物が食べやすいサイズにまで低分子化します。
高濃度酸素と
活性炭含有担体による生分解
水中のオゾンが活性炭の触媒反応で高濃度の酸素に変化。この酸素が、活性炭を含有した専用の担体に定着した微生物を極限まで活性化し、低分子化された汚れを生分解します。有害な排オゾンガスが放出されないため、密閉や無害化設備は必要ありません。
OZACは、調整槽でオゾンが汚れを低分子化し、曝気槽では活性炭含有担体に定着したバクテリアが分解を進める、2段階の処理を既存水槽内で行う方法です。
バクテリアが担体に固定されているため、活性汚泥法のように「汚泥を沈める」ことを前提としません。沈降不良という現象が起こりにくく、バルキングの再発に悩まされない処理環境を構築できます。
バルキングの原因となる糸状菌の増殖を抑制し、生物処理で分解できない有機物も処理します。沈降性の低下に伴う水質の乱れや悪臭を抑え、放流水質を安定して維持。処理不良の対応頻度が低下し、現場の管理負担を軽減します。
水質や流入負荷が変動する場合でも、生物処理の機能を維持し、安定した処理を継続します。季節変動や操業条件の変化といった外部環境の影響を受けにくく、糸状菌の増殖や処理不良の再発を抑えられる点もメリットです。日々の調整や、応急対応の負担軽減につながります。
OZACは、水槽の増設や設備の全面入れ替えを伴わず、既存設備を活用する構成です。既存の曝気槽などに後付けで設置でき、新たな設置スペースを確保せずに導入できます。工場の稼働を停止せずに排水処理設備を更新可能です。設備投資や工期の負担を抑えながら、バルキングに対応した処理環境へ移行します。
血液や油分を多く含む食肉加工工場の排水は負荷変動が大きく、バルキングや処理不良が起きやすい環境です。導入前の段階ではSSが540mg/Lと高い数値を示し、汚泥の沈降不良が慢性化していました。
既存の曝気槽にOZACを導入した結果、糸状菌が抑制されて沈降性が大きく改善しました。各水質指標においても確実な浄化効果が確認されています。
| 項目(mg/L) | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| BOD | 500 | 23 |
| COD | 100 | 17 |
| n-Hex | 220 | <5 |
| SS | 540 | 16 |
メディア監修
引用元:エンバイロ・ビジョン公式HP(https://www.envirovision.jp/)
OZACは、エンバイロ・ビジョンが提供するオゾン排水処理システムです。
特許技術のマイクロナノバブルを活用し、排水・洗浄設備の能力向上など多様な環境ニーズに応えるサービスを提供。稼働実績は全国20施設※(プラント)以上(2026年3月時点)にのぼります。
発電所・食品工場・化学工場をはじめとした、水質管理基準や導入審査が厳しい国内大手企業を中心に採用されています。
実際の排水を用いたサンプルテストに対応しています。処理後の水質は、外部機関による客観的な分析データとともにレポートとして確認できます。導入に向けた社内稟議や、技術的な比較・検討へお役立てください。
日本の産業を支える水。しかしその裏側では、終わりのない薬剤投入や高騰する産廃コスト、そしてGX-ETSの義務化が重なり、排水処理は多くの企業にとって無視できない経営課題になりつつあります。
当メディアは、既存設備を活かしながら薬品・汚泥レスを実現する次世代の「オゾン排水処理システム」を、業種ごとの課題と導入事例を通じて伝えていくメディアです。この技術は、単なるコスト削減にとどまらず、環境負荷の低減と企業の成長を両立させる排水処理の転換点になると私たちは考えています。排水処理の常識を変えるこの技術を、一社でも多くの企業に届けていきます。