食品工場の排水処理では、「油分がうまく分離できない」「微生物が死滅して処理が止まる」「悪臭で近隣からクレームが入る」など、課題が連鎖的に起こりやすく対応に苦慮している現場が少なくありません。このページでは、食品工場特有の排水課題を整理したうえで、オゾン排水処理システムによる解決の事例とその仕組みを紹介します。
事例を先に確認したい場合は、食品工場のオゾン排水処理事例へお進みください。
食品工場の排水は、大きなゴミの除去から油分の分離、微生物による分解へと段階的に処理されます。ここでは主な3つの工程を順に整理します。
工場から出た排水が最初に通る工程です。食品残渣や野菜くず、ビニール片などの大きな固形物をメッシュ状のスクリーンなどで除去。後段のポンプや設備の詰まりを未然に防ぎ、全体の処理をスムーズにする重要な役割を担います。
水中に微細な気泡を発生させ、凝集剤で固めた油分や浮遊物質を絡めとりながら水面へ浮上させる処理です。動植物油を多く扱う工場においては、生物処理の負荷を下げるために欠かせない前処理工程となっています。
加圧浮上で取り切れなかった水に溶け込んだ汚れを、バクテリアをはじめとする微生物に食べさせて分解浄化する工程です。空気を送り込んで曝気することで微生物の働きを活性化させ、有機物を分解して水質の改善を図ります。
食品工場の排水処理では、ひとつの問題が次のトラブルを引き起こす負の連鎖が起きやすい傾向があります。現場で特に多い3つのケースを解説します。
加工や洗浄工程で大量の動植物油と洗剤が混ざり、水と油が強力に結びついたエマルジョン状態に変化する課題です。一度エマルジョン化すると、加圧浮上処理に凝集剤を投入しても油を分離して浮かせることができず、次の処理工程へそのまま流出します。
衛生管理のため、生産終了後に熱湯や強力な洗浄剤を使い、一斉清掃を行う食品工場は少なくありません。この清掃排水が生物処理設備へ一気に流れ込むと、急激な温度変化やpH異常が発生し、高濃度の汚れも加わって微生物に大きな負荷がかかります。
微生物は急激な環境変化に弱いため、活動が低下するだけでなく、最悪の場合は死滅という結果に。微生物が死滅すれば、排水処理そのものが機能しなくなります。
加圧浮上処理で取り切れなかった油分が曝気槽へ流れ込むと、油膜が微生物をコーティングしてしまい、呼吸や分解活動を妨げます。酸素を取り込めなくなった微生物は死滅し、分解されなかった汚れが水槽底で腐敗して強烈な悪臭ガスを発生させます。
こうした食品工場特有の排水課題に対し、オゾンの酸化力を活用した排水処理システムの導入が広がっています。
メディア監修
引用元:エンバイロ・ビジョン公式HP(https://www.envirovision.jp/)
エンバイロ・ビジョンが提供するオゾン排水処理システムOZAC(オーザック)は、オゾンの酸化力を微細なマイクロナノバブルによって水中に留まらせる特許技術を用いた排水処理です。 凝集剤では分離できない乳化油を分解し、悪臭の原因を除去します。
既存水槽への導入が可能で、大規模施設を中心に全国20施設以上※(2026年3月時点)で採用されています。
OZACの導入によって高負荷な排水処理の課題を解決した、「長岡食肉センター」の事例を紹介します。OZAC提供元エンバイロ・ビジョンに、相談から導入、稼働までのプロセスを伺いました。
インタビューにご協力いただいたのは、エンバイロ・ビジョン株式会社 代表取締役の豊岡 正志氏。
マイクロナノバブル応用技術を軸とした環境ソリューションを20年近く手がけており、オゾン排水処理システムOZAC(オーザック)の開発・提供から導入支援まで一貫して担当しています。
WEB経由でご相談いただいた際、現場は深刻な状況でした。日々の洗浄で大量の油と洗剤が混ざり合い、排水が完全に白濁(エマルジョン化)。凝集剤をいくら入れても分離できず、すり抜けた油が強烈な悪臭を放ち、解決策が見つからずに行き詰まっておられました。
実際の白濁排水を当社ラボへお送りいただき、オゾンファインバブル(オゾンマイクロナノバブル)による処理テストを実施した結果、油分が分解され、排水が透明になりました。外部機関の水質分析データでもn-Hex(油分)の大幅な低減が実証されています。
分析レポートをお客様に共有した後、現場に小型デモ機を設置して連続試験を実施。実際に悪臭が消え、安定した処理能力が確認されたことで、社内稟議もスムーズに通過しました。既存水槽への後付けで対応できるため、導入時の工場のライン停止は発生していません。
| 測定項目(mg/L) | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| BOD (水中の有機物量の指標) |
500 | 23 |
| COD (薬品で測る有機物量の指標) |
100 | 17 |
| n-Hex (油分量) |
220 | < 5 |
| SS (浮遊固形物の量) |
540 | 16 |
油分(n-Hex)は220から5未満へ、BODは500から23へ低下し、4項目すべてで排水基準を下回る結果となっています。
OZACは、「乳化油が取り切れない」「微生物が死滅する」「悪臭が止まらない」といった食品工場特有の課題を、既存水槽のままで解決に導く排水処理システムです。
ここでは従来の活性汚泥法との違いや導入メリット、具体的な導入手順などを解説します。
従来法は微生物分解のみであるのに対し、OZACはオゾンによる酸化分解と微生物分解を組み合わせている点が大きな違いです。
排水処理で活性汚泥の沈降性が悪化し、沈殿槽で固液分離がうまくいかなくなる状態のこと。汚泥が処理水に混ざって流出(キャリーオーバー)し、処理水質が悪化します。
水中の汚れを微生物に食べさせて分解する方法で、多くの食品工場で採用されています。しかし、高濃度の油分や急激な水質変化には弱く、処理不良や余剰汚泥の大量発生を招きやすいという弱点があります。
オゾンによる分解(低分子化)
ファインバブル発生装置からオゾンマイクロナノバブルを放出。オゾンの強力な酸化力と、バブルが弾ける際の圧壊作用により、強固な有機物の鎖を微生物が食べやすいサイズにまで低分子化します。
高濃度酸素と
活性炭含有担体による生分解
水中のオゾンが活性炭の触媒反応で高濃度の酸素に変化。この酸素が、活性炭を含有した専用の担体に定着した微生物を極限まで活性化し、低分子化された汚れを生分解します。有害な排オゾンガスが放出されないため、密閉や無害化設備は必要ありません。
オゾンで汚れの分子構造を破壊し、微生物が分解しやすい状態にまで低分子化。凝集剤に頼らず汚れを処理でき、汚泥の引き抜きも不要になります。
強固な油分や難分解性の有機物を、オゾンの酸化力とファインバブルの圧壊作用が直接破壊。微生物では分解できなかった高分子の汚れを極小サイズにまで分断し、汚泥の発生源そのものを断ちます。
汚れを分解して増殖した微生物に対し、ファインバブルの圧壊作用で細胞壁を破壊。砕かれた微生物は、別の有用微生物の栄養源として再分解されます。水槽内でサイクルが完結し、余剰汚泥の発生を抑制します。
強力な酸化力を持つオゾンを微細な気泡にして水中に滞留させます。凝集剤では分離できない白濁した油分や難分解性の有機物を、オゾンの力で酸化・破壊。悪臭の元となる成分も根本から脱臭・脱色します。
微細な孔が無数にある活性炭含有担体を水槽内に流動させ、低分子化された汚れを素早く吸着。担体内部に高密度で生息する微生物が、汚れを効率よく分解します。担体の構造が外部環境の変化から微生物を守るため、熱湯や洗剤が流入してもダメージを受けにくく、安定した処理を維持できます。
大掛かりな水槽の増設や設備の総入れ替えは必要ありません。現在稼働している既存の曝気槽などをそのまま利用し、オゾン発生装置とノズルを後付けするだけで完了します。重要な生産ラインを止めることなく、設備の大幅なアップグレードを実現できる排水処理システムです。
OZACを提供するエンバイロ・ビジョンでは、実際の排水を用いたサンプルテストに対応しています。処理後の水質は外部機関の分析データとともに提供されるため、導入効果の事前確認や、社内稟議の判断材料として活用できます。
排水サンプルテストは、下記よりお申し込みいただけます。
日本の産業を支える水。しかしその裏側では、終わりのない薬剤投入や高騰する産廃コスト、そしてGX-ETSの義務化が重なり、排水処理は多くの企業にとって無視できない経営課題になりつつあります。
当メディアは、既存設備を活かしながら薬品・汚泥レスを実現する次世代の「オゾン排水処理システム」を、業種ごとの課題と導入事例を通じて伝えていくメディアです。この技術は、単なるコスト削減にとどまらず、環境負荷の低減と企業の成長を両立させる排水処理の転換点になると私たちは考えています。排水処理の常識を変えるこの技術を、一社でも多くの企業に届けていきます。