製紙工場では、「パルプ由来のSSやCODの処理が難しい」「脱墨排水の色度が抜けきらない」「汚泥の処分費が負担になっている」など、排水処理に関するさまざまな課題があります。
このページでは、製紙工場特有の排水課題を整理し、オゾン排水処理システムによる汚泥減容の仕組みと、実際の試験データを紹介します。
実例を先に確認したい場合は、製紙工場へのオゾン排水処理事例へお進みください。
製紙工場では、パルプ製造・抄紙・脱墨などの工程から、水質の異なる排水が発生します。排水の性状や処理目標に応じて、複数の処理工程を組み合わせて処理するのが一般的です。
パルプ繊維や紙片などの粗大な固形物は、スクリーニングによって先に取り除きます。続いて調整槽で水量やpH、水温などの変動をならし、後段の処理装置に安定した状態で排水を送ります。工程ごとに水質が変わりやすい製紙工場では、前処理によって排水の状態を整えることが重要です。
凝集剤を用いて微細な繊維やインクの粒子などをフロック化し、沈殿や浮上によって分離します。脱墨工程を持つ工場では、加圧浮上装置によってインクや油分などを分離する方法も用いられます。
一方で、凝集処理では分離した汚れが汚泥として発生します。排水量の大きい製紙工場では、凝集剤の使用量や汚泥処分量が増えることで、処理コストや維持管理の負担が大きくなることがあります。
微生物の働きを利用して有機物を分解する処理で、BODやCODの低減を目的として広く使われています。ただし、排水に難分解性の有機物が多く含まれる場合は、生物処理だけでは十分な水質まで低減できないことがあります。
製紙工場では、排水量が大きいうえに汚れの種類も幅広く、既存の排水処理設備だけでは対応が難しくなるケースがあります。ここでは、製紙工場の排水処理で生じやすい3つの課題について整理します。
抄紙工程などの排水には、パルプ由来の微細な繊維成分が含まれます。こうした成分が十分に分離できないと、SS(浮遊物質)の低減が課題になります。
凝集処理では薬剤の調整が必要になるほか、排水の性状によっては処理量や汚泥量の増加につながります。SSを安定して基準内に収めることは、水質管理における重要なポイントです。
古紙リサイクルを行う工場では、脱墨工程からインクや染料などに由来する成分が排水に流れ込みます。こうした成分の中には活性汚泥で分解しにくいものもあり、処理水に色が残ることがあります。
色度については、排水先や自治体の基準・条例などに応じた対応が必要です。また、処理水の色は周辺環境への影響や近隣対応の観点でも注意したいポイントです。
凝集沈殿や活性汚泥法では、処理の過程で汚泥が発生します。製紙工場は排水量が大きいため、汚泥の発生量が多くなり、脱水や搬出、産業廃棄物としての処分にかかるコストが課題になることがあります。
汚泥の発生量を抑えることは、処分費の削減だけでなく、汚泥の搬出や管理にかかる負担を軽減するうえでも重要です。
こうした製紙工場特有の排水課題に対し、オゾンの酸化力を活用した排水処理システムを導入する方法があります。
メディア監修
引用元:エンバイロ・ビジョン公式HP(https://www.envirovision.jp/)
エンバイロ・ビジョンが提供するオゾン排水処理システムOZAC(オーザック)は、オゾンを微細なマイクロナノバブルに溶け込ませ、水中に長く留まらせる特許技術を用いた排水処理システムです。パルプ由来の難分解性有機物や色度成分をオゾンの酸化力で分解し、余剰汚泥の発生も抑えます。
既存水槽への導入が可能で、大規模施設を中心に全国20施設以上※(2026年3月時点)で採用されています。
日処理15,000t規模の製紙工場の廃水を想定した大規模施設向けの試験データを紹介します。OZACの提供元であるエンバイロ・ビジョンが実施した試験で、既存の水槽構成を活用しながら、汚泥発生量や水質への影響を検証しています。
対象となったのは、日処理15,000t規模の廃水処理設備です。1/280の規模で模型化した15tの水槽2基(調整槽・曝気槽)を用意し、沈殿槽を経由せずに処理する構成で試験を行いました。
大規模な製紙工場の廃水を想定し、既存の水槽構成を活用した場合に、汚泥発生量や水質がどのように変化するかを確認することが試験の目的です。
試験は2019年9月に開始し、原水から曝気槽の出口までの水質を測定しました。結果は次のとおりです。
| 測定地点 | TOC(mg/L) |
|---|---|
| 原水 | 317 |
| オゾン反応槽出口 | 129 |
| 生物処理槽出口 | 36 |
原水のTOC317mg/Lに対して生物処理槽出口では36mg/Lとなり、TOCは約1/9まで低減しました。BOD換算予想値も10mg/L以下となっており、試験条件では良好な水質が得られています。
また、試験期間を通じて余剰汚泥が発生しなかったことも特徴的な結果です。この試験では、従来の処理で発生する汚泥を抑えられる可能性が示されています。
「パルプ由来のSSやCODの処理が難しい」「脱墨排水の色度が抜けにくい」「汚泥処分費が負担になっている」といった製紙工場特有の排水課題に対し、既存の水槽を活用して導入できる排水処理システムがOZACです。
ここでは従来の活性汚泥法との違いと、OZACを導入するメリットを解説します。
従来法は微生物分解のみであるのに対し、OZACはオゾンによる酸化分解と微生物分解を組み合わせることで、製紙工場特有の難分解性有機物や色度成分にも対応できる点が大きな違いです。
排水処理で活性汚泥の沈降性が悪化し、沈殿槽で固液分離がうまくいかなくなる状態のこと。汚泥が処理水に混ざって流出(キャリーオーバー)し、処理水質が悪化します。
水中の有機物を微生物の働きによって分解する仕組みです。パルプ由来の難分解性有機物や色度成分などは、処理条件によって十分に除去できない場合があり、処理水の色や有機物が課題になることがあります。
オゾンによる分解(低分子化)
ファインバブル発生装置からオゾンマイクロナノバブルを放出します。オゾンの酸化力と、バブルが弾ける際の圧壊作用などによって、排水中の有機物の分解を促進し、微生物が利用しやすい形へ低分子化します。
高濃度酸素と
活性炭含有担体による生分解
水中のオゾンが活性炭の触媒反応で高濃度の酸素に変化。この酸素が、活性炭を含有した専用の担体に定着した微生物を極限まで活性化し、低分子化された汚れを生分解します。有害な排オゾンガスが放出されないため、密閉や無害化設備は必要ありません。
AOP+UVによる
完全分解と無色化
曝気槽の後段に促進酸化槽での処理を追加することで、有機物や色度成分の処理をさらに完結させることができます。生物処理をすり抜けた極小の難分解性物質や色素成分に対し、オゾンマイクロナノバブルとUV(紫外線)を掛け合わせた促進酸化処理(AOP)を実施。強力な酸化力を持つOHラジカルが、残存する汚れを水と二酸化炭素にまで完全分解します。高度な脱色と殺菌も同時に行い、厳しい放流基準をクリアする無色透明な処理水へと仕上げます。
オゾンとUV(紫外線)を組み合わせた促進酸化処理(AOP)により、微生物では分解できない難分解性有機物や色度成分まで分子結合を破壊して分解。凝集剤や汚泥の引き抜きに頼らず、既存槽のままで汚泥の減容と脱色を同時に進められます。
強い酸化力を持つオゾンを微小な気泡(マイクロナノバブル)に含めて水中に滞留させることで、連鎖反応が発生。強力なOHラジカルが生成されます(促進酸化処理:AOP)。
OHラジカルは、微生物では分解できないパルプ由来の難分解性有機物や、脱墨工程から流れ込むインク・染料成分の分子結合を直接破壊・切断し、無害な低分子へと分解。同時に、色度成分の脱色も進みます。
水槽内に、微生物の付着基材となるブロック(活性炭含有担体)を流動させます。ブロックに含まれる活性炭が、オゾンで低分子化された汚れを吸着。内部に密集している微生物が、吸着した汚れを効率よく分解します。
オゾンによる低分子化と微生物による生物分解を組み合わせることで、薬品投入や汚泥引き抜きの負担を抑えます。
水槽の増設や全面的な設備の入れ替えではなく、既存の水槽を活用して導入できるのがOZACの特長です。オゾン発生装置やマイクロナノバブル発生装置などを既存設備に追加することで、大規模な設備変更を抑えながら排水処理能力の向上を目指せます。
既存設備を活用できるため、設備全体を入れ替える方法と比べて導入時の負担を抑えやすい点もメリットです。実際の導入方法や工事範囲は、既存設備の構成や排水条件によって異なるため、事前に現地確認やサンプルテストを行うとよいでしょう。
OZACを提供するエンバイロ・ビジョンでは、実際の排水を用いたサンプルテストに対応しています。処理後の水質は外部機関の分析データとともに提供されるため、導入効果の事前確認や、社内稟議の判断材料として活用できます。
排水サンプルテストは、下記よりお申し込みいただけます。
日本の産業を支える水。しかしその裏側では、終わりのない薬剤投入や高騰する産廃コスト、そしてGX-ETSの義務化が重なり、排水処理は多くの企業にとって無視できない経営課題になりつつあります。
当メディアは、既存設備を活かしながら薬品・汚泥レスを実現する次世代の「オゾン排水処理システム」を、業種ごとの課題と導入事例を通じて伝えていくメディアです。この技術は、単なるコスト削減にとどまらず、環境負荷の低減と企業の成長を両立させる排水処理の転換点になると私たちは考えています。排水処理の常識を変えるこの技術を、一社でも多くの企業に届けていきます。