MBR(膜分離活性汚泥法)は、省スペースで良好な処理水質を確保できる排水処理方式です。一方、膜の目詰まり(ファウリング)が進むと、薬液洗浄の頻度が増え、膜交換の費用もかさみます。
目詰まりを防ぐには、定期的な洗浄だけでなく、膜に汚れが付着する原因を把握し、流入水の水質や処理条件に合った対策を講じることが重要です。このページでは、MBRの目詰まりが起きる原因や放置するリスク、既存設備への後付けで膜の負荷を下げるオゾン処理について解説します。
MBRのファウリングは、膜面や膜の細孔に有機物や無機物などが蓄積し、水が通りにくくなる現象です。主な原因として、微生物由来の有機物、難分解性有機物、油分や無機成分の蓄積が挙げられます。
活性汚泥中の微生物は、多糖類やタンパク質などを含む物質を生成します。SMP(溶解性微生物代謝産物)は微生物の代謝などによって生じる物質、EPS(細胞外高分子物質)は微生物の周囲や汚泥フロックに存在する高分子物質です。
これらの物質が膜面に付着すると、膜表面に汚れの層が形成され、水の透過を妨げます。SMPやEPSの量や性状は、膜の目詰まりの進み方に影響します。汚泥濃度や曝気条件、汚泥滞留時間(SRT)などの運転条件を適切に管理し、汚れが蓄積しにくい状態を保つことが大切です。
微生物によって分解されにくい有機物が多く含まれる排水では、処理工程を通過した有機物が膜面に付着し、ファウリングの原因になります。食品・化学・製薬などの工場排水では、生物処理だけでは十分に分解できない有機物が残ります。
難分解性有機物の流入が続くと、膜面への有機物の蓄積が進み、透過性能の低下につながります。原水の性状や生物処理の状態を確認し、必要に応じて前処理の追加や処理条件の見直しを検討しましょう。
原水に含まれる油分や、カルシウム・鉄などの無機成分も、膜の目詰まりを引き起こす原因です。特に、乳化した油分は水中に分散しているため、通常の油水分離だけでは十分に除去できないケースも少なくありません。
油分が膜面に付着すると、水の透過を妨げ、ファウリングを進行させます。また、無機成分が析出してスケールを形成すると、通常の洗浄では除去しにくくなります。排水中の油分や無機成分の濃度を把握し、性状に応じた前処理や洗浄方法を選ぶ必要があります。
ファウリングが進むと、膜の透過性能が低下し、洗浄や設備の維持管理にかかる負担が増えます。放置せず、差圧や処理水量の変化を確認して早めに対処しましょう。
膜面に汚れが蓄積すると、水を膜に通すために必要な圧力が高くなります。膜間差圧が上昇した状態で運転を続けると、同じ水量を処理するために必要なエネルギーが増え、電力コストも上昇します。
さらに、設定した運転圧力の上限に達すると、処理水量を維持できなくなります。工場排水を十分に処理できなければ、排水処理設備だけでなく、工場全体の操業にも影響します。
膜の目詰まりが進んだ場合、膜の種類や汚れの性状に応じて、次亜塩素酸ナトリウムやクエン酸などを用いた薬液洗浄が必要になります。
洗浄頻度が増えると、薬剤費だけでなく、洗浄作業にかかる人件費や設備停止に伴う負担も増加します。また、薬液洗浄を繰り返すと、膜の劣化も進みます。汚れの原因を把握し、洗浄の回数を増やさずに済む運転方法を検討することで、維持管理費を抑えられます。
膜モジュールは、使用条件や膜の種類、維持管理の状態によって寿命が変わります。ファウリングが進行し、適切な洗浄を行っても透過性能が十分に回復しなくなれば、膜モジュールの交換が必要です。
膜モジュールの交換には、部材費に加えて交換作業費や設備停止に伴う費用もかかります。交換時期が早まるほど、設備投資の負担は大きくなります。膜の状態を定期的に確認し、目詰まりの原因を取り除く対策を進めましょう。
MBRの目詰まり対策には、薬液洗浄や膜交換、運転条件の調整などがあります。ただし、これらの方法だけでは汚れの原因を十分に取り除けず、維持管理の負担が続きます。
次亜塩素酸ナトリウムやクエン酸などを用いた薬液洗浄は、膜に付着した汚れを除去するための一般的な対策です。ただし、洗浄によって膜の透過性能が回復しても、流入する汚れの量が変わらなければ、再びファウリングが進行します。
洗浄の繰り返しだけでなく、膜に汚れが付着する原因そのものを減らすことが重要です。洗浄頻度が増えている場合は、原水の水質や運転条件を見直し、必要に応じて前処理の導入も検討しましょう。
洗浄を行っても膜の透過性能が回復しない場合は、膜モジュールの交換が必要になります。交換には部材費と作業費がかかり、設備の構造や交換方法によっては、処理能力を一時的に落とさなければなりません。
膜交換は、目詰まりが進んだ後に発生する負担の大きい対策です。交換費用を抑えるには、膜の状態を管理するとともに、汚れの流入や蓄積を抑える対策を組み合わせる必要があります。
曝気条件や汚泥滞留時間(SRT)、汚泥濃度などを見直すと、汚泥の状態や膜面への汚れの蓄積を改善できます。ただし、運転条件の調整だけですべてのファウリングを防げるわけではありません。
難分解性有機物や油分が多く含まれる排水では、運転条件の調整に加えて、原水側の負荷を下げる対策も必要です。排水の性状を調査し、既存の生物処理で対応できる範囲と、前処理を追加すべき範囲を見極めましょう。
MBRの目詰まりを抑えるには、膜に付着する汚れを洗浄するだけでなく、前段で有機物の性状を変えたり、流入する汚れの負荷を減らしたりする方法も有効です。その選択肢の一つが、オゾンを利用した排水処理です。
オゾンは強い酸化力を持ち、水中の有機物と反応します。排水の性状や処理条件に応じて、高分子有機物などの分子構造を変化させ、低分子化を促すことができます。
膜に到達する有機物の性状や量を変えることで、膜面への汚れの蓄積を抑えられます。効果は排水の成分やオゾンの注入量、反応時間で変わります。低分子化した有機物が必ず生物処理で分解されるわけではないため、後段の処理性能も含めて検証しましょう。
油分についても、オゾンによって酸化反応が進みます。実際の排水を使った試験で、除去できる油分の種類や量を確認しましょう。
オゾン処理によって膜のファウリングにつながる物質の性状や量を改善できれば、膜面への汚れの蓄積を抑えられます。
薬液洗浄の頻度や膜交換の負担を減らすには、膜の前段で汚れの負荷を下げる対策が有効です。導入前に水質分析や処理試験を行い、洗浄回数や膜寿命への効果を確認しましょう。
OZAC(オーザック)は、オゾンマイクロナノバブルと活性炭含有担体を活用し、排水中の有機物の酸化と生物処理を組み合わせる排水処理システムです。既存の水槽を活用する構成で導入できるため、設備の全面更新や水槽の増設を避けたい工場でも導入ハードルを下げられます。
既存設備を活用して前処理を追加できれば、大規模な設備更新を避けながら、MBRに流入する有機負荷を下げられます。対応できる範囲は既存水槽の容量や設備構成、排水の性状で決まるため、導入前に現場の条件を確認しましょう。
従来の活性汚泥法とOZACでは、排水中の有機物を処理する仕組みが異なります。OZACはオゾンによる酸化処理と生物処理を組み合わせ、既存設備を活用しながら排水処理を進める方式です。
排水処理で活性汚泥の沈降性が悪化し、沈殿槽で固液分離がうまくいかなくなる状態のこと。汚泥が処理水に混ざって流出(キャリーオーバー)し、処理水質が悪化します。
活性汚泥法は、微生物の働きによって排水中の有機物を分解する処理方法です。ただし、すべての有機物を完全に分解できるわけではありません。
生物処理で分解されにくい有機物や、微生物由来のSMPなどが残ると、後段の膜に汚れが蓄積する原因になります。MBRの目詰まりを抑えるには、生物処理の状態を適切に管理するとともに、排水の性状に応じた追加対策を検討する必要があります。
オゾンによる分解(低分子化)
ファインバブル発生装置からオゾンマイクロナノバブルを放出。オゾンの強力な酸化力と、バブルが弾ける際の圧壊作用により、強固な有機物の鎖を微生物が食べやすいサイズにまで低分子化します。
高濃度酸素と
活性炭含有担体による生分解
水中のオゾンが活性炭の触媒反応で高濃度の酸素に変化。この酸素が、活性炭を含有した専用の担体に定着した微生物を極限まで活性化し、低分子化された汚れを生分解します。有害な排オゾンガスが放出されないため、密閉や無害化設備は必要ありません。
OZACは、調整槽でオゾンマイクロナノバブルによる酸化処理を行い、曝気槽では活性炭含有担体に定着した微生物による生物処理を組み合わせる方式です。オゾン処理と生物処理を組み合わせることで、排水中の有機物の処理を進めます。
オゾン処理で有機物の性状を変え、生物処理で分解を進めることで、後段のMBRにかかる有機負荷を下げられます。導入前に処理試験を行い、実際の排水での処理効果を確認しましょう。
OZACは、オゾンマイクロナノバブルを利用して排水中の有機物の酸化処理を進めます。MBRのファウリングに関係する有機物の性状を変化させ、後段の生物処理と組み合わせることで、膜に流入する有機負荷を下げられます。
膜に到達する汚れの負荷を抑えられれば、ファウリング対策にかかる維持管理の負担を軽減できます。
工場排水は、製造工程や生産量によって水質や流入量が変動します。負荷が急激に変化すると、生物処理の状態が不安定になり、処理水質や膜の運転状況にも影響します。
OZACの導入を検討する際は、活性炭含有担体を利用した生物処理とオゾン処理を組み合わせ、実際の排水条件に合った運転方法を設計することが重要です。流入負荷の変動が大きい工場では、通常時だけでなく、負荷が高まる時間帯の水質や処理能力も確認しましょう。
OZACは、既存の調整槽や曝気槽などを活用した導入を検討できる排水処理システムです。既存設備を生かせれば、水槽の増設や全面的な設備更新を避け、設備投資や工事の負担を抑えられます。
既存設備を活用して導入できるかどうかは、設置スペースや水槽の容量、配管、電源、排水の性状などによって決まります。導入前に設備状況を確認し、必要な工事や、工事中の操業への影響、運転切り替えの手順を具体的に検討しましょう。
OZACによる排水処理の改善事例を紹介します。製紙工場、食品工場、化学工場の事例では、それぞれ異なる性状の排水を処理しています。掲載する数値は各事例で示された結果であり、同じ効果がすべての排水で得られることを示すものではありません。
製紙工場の排水には、パルプ由来の有機物などが含まれます。排水の性状によっては、生物処理だけでは十分に分解されない有機物が残り、後段の処理負荷につながります。ここでは、日処理15,000t規模の排水処理設備を想定した模型試験の結果を紹介します。
対象となったのは、パルプ由来の有機物を含む製紙工場排水です。試験開始前のTOC(全有機炭素)は317mg/Lでした。有機物の濃度を下げるには、排水の性状に応じた処理が必要な水質です。
調整槽と曝気槽を用いた模型試験でオゾン処理と生物処理を組み合わせた結果、TOCは原水の317mg/Lから生物処理槽出口で36mg/Lまで低下しました。試験では、処理工程を通じてTOCの低下が確認されています。
この結果は、試験条件下で得られたものです。実際のMBR設備で目詰まりをどの程度抑えられるかを判断するには、膜間差圧や洗浄頻度なども含めて検証する必要があります。
| 測定地点 | TOC(mg/L) |
|---|---|
| 原水 | 317 |
| オゾン反応槽出口 | 129 |
| 生物処理槽出口 | 36 |
食品工場では、製造工程によって油脂や浮遊物を多く含む排水が発生します。油分やSS(浮遊物質)が十分に除去されないまま後段の膜処理に流入すると、膜面への付着や目詰まりの原因になります。ここでは、食肉加工工場の排水処理事例を紹介します。
対象となった食肉加工工場では、油分を示す指標であるn-Hex(ノルマルヘキサン抽出物質)が220mg/L、SSが540mg/Lでした。油分と浮遊物質の両方を含む排水であり、後段の処理設備にかかる負荷への対策が課題となっていました。
OZACを導入した事例では、n-Hexが220mg/Lから5mg/L未満へ、SSが540mg/Lから16mg/Lへ低下しました。BODやCODにも低下が見られ、導入後の排水では、油分や浮遊物質などの指標が改善しています。
これらは当該事例で示された処理結果です。MBRの目詰まり対策として導入する場合は、実際の原水を用いて処理効果を確認し、膜間差圧や洗浄頻度の変化も評価しましょう。
| 項目(mg/L) | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| BOD | 500 | 23 |
| COD | 100 | 17 |
| n-Hex | 220 | <5 |
| SS | 540 | 16 |
化学工場の排水には、製造工程で使用した原料や薬品に由来する有機物が含まれます。成分によっては生物処理で分解されにくく、通常の排水処理だけでは対応が難しくなります。ここでは、CODが高い難分解性廃液を対象とした処理試験を紹介します。
対象となった廃液は、化学工場の製造工程から排出されたもので、試験開始前のCOD(化学的酸素要求量)は9,000mg/Lでした。有機物の濃度が非常に高く、通常の処理工程だけでは対応が難しい廃液として、処理方法の検討が必要な状態でした。
オゾンマイクロナノバブルを用いた処理試験では、CODが9,000mg/Lから420mg/Lまで低下しました。試験条件下で、CODの大幅な低下が確認されています。
ただし、CODの低下だけで、MBRに適した水質になったと判断することはできません。実際に導入する際は、残留する有機物の性状や生物処理への影響、後段の処理水質なども確認する必要があります。
| 項目(mg/L) | 試験前 | 試験後 |
|---|---|---|
| BOD | 270 | 21 |
| COD | 9,000 | 420 |
| SS | 120 | 13 |
| 透明度 | クリーム色、濁り(中) | 透明度(中) |
メディア監修
引用元:エンバイロ・ビジョン公式HP(https://www.envirovision.jp/)
OZACは、エンバイロ・ビジョンが提供するオゾン排水処理システムです。
特許技術のマイクロナノバブルを活用し、排水・洗浄設備の能力向上など多様な環境ニーズに応えるサービスを提供。稼働実績は全国20施設※(プラント)以上(2026年3月時点)にのぼります。
発電所・食品工場・化学工場をはじめとした、水質管理基準や導入審査が厳しい国内大手企業を中心に採用されています。
実際の排水を用いたサンプルテストに対応しています。処理後の水質は、外部機関による客観的な分析データとともにレポートとして確認できます。導入に向けた社内稟議や、技術的な比較・検討へお役立てください。
日本の産業を支える水。しかしその裏側では、終わりのない薬剤投入や高騰する産廃コスト、そしてGX-ETSの義務化が重なり、排水処理は多くの企業にとって無視できない経営課題になりつつあります。
当メディアは、既存設備を活かしながら薬品・汚泥レスを実現する次世代の「オゾン排水処理システム」を、業種ごとの課題と導入事例を通じて伝えていくメディアです。この技術は、単なるコスト削減にとどまらず、環境負荷の低減と企業の成長を両立させる排水処理の転換点になると私たちは考えています。排水処理の常識を変えるこの技術を、一社でも多くの企業に届けていきます。