フェノール類は、石油化学や樹脂製造、医薬品、染料などの製造工程から発生する有機化合物です。水質汚濁防止法では、フェノール類の一律排出基準として5mg/Lが定められています。ただし、濃度が高い排水や共存成分が多い排水では、一般的な生物処理だけでは十分に除去できず、基準を満たすために追加対策が必要です。
フェノールを含む排水を処理するには、濃度や水質に合った処理方法を選ぶ必要があります。このページでは、従来の処理方法の課題と、オゾンを利用した促進酸化処理(AOP)でフェノール類を分解する方法を解説します。
フェノールを含む排水の処理では、生物処理や活性炭吸着、酸化処理などが用いられます。それぞれに特徴がありますが、フェノール濃度が高い排水や成分が複雑な排水では、処理効率や維持管理コストが課題になります。
フェノールは濃度によって微生物に対する毒性を示します。高濃度のフェノールが流入すると、活性汚泥中の微生物の働きが阻害され、処理性能が低下します。
フェノールを分解する微生物を利用する方法もありますが、処理性能は微生物の種類や濃度、水温、pH、流入負荷などに左右されます。安定した処理を続けるには、フェノール濃度の変動を把握し、微生物が安定して働ける運転条件を維持する必要があります。
活性炭は、フェノール類を吸着して水中から除去する方法です。ただし、吸着できる量には限りがあります。活性炭の吸着能力が低下すると、交換や再生が必要になり、継続的な維持管理費が発生します。
フェノール濃度が高い排水ほど、活性炭の消費量が増えます。使用済み活性炭の処分費用も含めて、処理量や濃度に応じたランニングコストを確認しましょう。
次亜塩素酸などの塩素系薬剤を用いてフェノール類を処理すると、クロロフェノール類などの副生成物が生じます。クロロフェノール類には、有害性が問題となる物質も含まれます。
塩素処理を採用する際は、フェノール類の除去だけでなく、副生成物の生成や処理後の水質も確認する必要があります。薬剤の使用条件や後段の処理工程まで含めて、適切な方法を検討しましょう。
フェノールを含む排水を処理する工場では、排出基準への対応や処理コスト、水質変動への対処が課題になります。
フェノール類の一律排出基準は5mg/Lです。自治体によっては、地域の条例でさらに厳しい上乗せ基準が設けられています。
製造工程や生産量によってフェノール濃度が変動すると、処理後の水質にも影響します。排出基準を継続して満たすには、通常時だけでなく、流入濃度が高くなるときも想定して処理能力を確認することが重要です。排水の分析結果をもとに、既存設備で対応できる範囲と追加対策の必要性を見極めましょう。
自社設備で処理しきれないフェノール含有廃液は、産業廃棄物として外部の処理業者に委託する方法があります。処理費用は、廃液の成分や濃度、量、運搬条件などで決まります。
外部委託を続ける場合は、廃液の発生量に応じた処理費用が継続して発生します。自社処理への切り替えを検討する際は、設備導入費や運転費と、現在の委託費用を比較し、長期的なコストを確認しましょう。
フェノール類は、石油化学や樹脂製造、医薬品、染料など、さまざまな製造工程から排出されます。排水に含まれる成分や濃度は、製品や製造工程、稼働状況によって異なります。
フェノール以外の有機物や薬品が混在すると、処理効率にも影響します。安定した処理を実現するには、フェノール濃度だけでなく、CODやpH、共存成分、流入量の変動も把握し、排水の性状に合った処理条件を設定する必要があります。
フェノールを含む排水の処理方法の一つに、オゾンを利用した促進酸化処理(AOP:Advanced Oxidation Process)があります。オゾンによる酸化反応に加え、処理条件に応じて生成するOHラジカルなどの活性種を利用し、有機物の分解を促す方法です。
OHラジカルは酸化力が強く、フェノールの分子構造を変化させ、段階的な分解を促します。ただし、フェノール自体の分解と、有機物を最終的に二酸化炭素などにまで分解することは同じではありません。処理の途中では中間生成物が生じるため、処理後の水質を分析し、必要な処理性能を満たしているか確認しましょう。
OZAC(オーザック)は、オゾンマイクロナノバブルと活性炭含有担体を活用し、酸化処理と生物処理を組み合わせる排水処理システムです。フェノールを含む排水に適用する場合は、排水の成分や濃度を確認したうえで、必要な処理性能が得られるかを評価します。
既存の水槽を活用できれば、大規模な設備更新や水槽の増設を避けて導入できます。利用できる範囲は槽の容量や配置、配管、排水の性状などで決まるため、導入前に現場条件を確認しましょう。
排水処理で活性汚泥の沈降性が悪化し、沈殿槽で固液分離がうまくいかなくなる状態のこと。汚泥が処理水に混ざって流出(キャリーオーバー)し、処理水質が悪化します。
活性汚泥法は、微生物の働きによって排水中の有機物を分解する処理方法です。フェノールも、濃度や水質、微生物の種類などの条件が合えば、生物処理による分解が可能です。
一方、フェノール濃度が高い場合や流入負荷が急激に変化した場合は、微生物の働きが阻害され、処理性能が低下します。生物処理だけでは対応できない排水には、前処理や酸化処理を組み合わせた方法を検討しましょう。
オゾンによる分解(低分子化)
ファインバブル発生装置からオゾンマイクロナノバブルを放出。オゾンの強力な酸化力と、バブルが弾ける際の圧壊作用により、強固な有機物の鎖を微生物が食べやすいサイズにまで低分子化します。
高濃度酸素と
活性炭含有担体による生分解
水中のオゾンが活性炭の触媒反応で高濃度の酸素に変化。この酸素が、活性炭を含有した専用の担体に定着した微生物を極限まで活性化し、低分子化された汚れを生分解します。有害な排オゾンガスが放出されないため、密閉や無害化設備は必要ありません。
OZACは、調整槽でオゾンマイクロナノバブルによる酸化処理を行い、曝気槽では活性炭含有担体に定着した微生物による生物処理を組み合わせる方式です。酸化処理で有機物の性状を変化させ、生物処理と組み合わせて排水中の有機物を除去します。
オゾン処理と生物処理を組み合わせることで、単独の処理方法では対応が難しい排水の処理性能を高められます。フェノールの分解率や処理後の水質は、排水の成分や濃度、オゾン注入量、反応時間で変わります。実際の排水を用いた試験で効果を確認しましょう。
オゾンはフェノールと反応し、分子構造を変化させます。OHラジカルなどの活性種も関与し、フェノールの分解が進みます。
フェノール類を分解するには、オゾンの注入量や反応時間などを排水の性状に合わせて設定する必要があります。フェノール濃度が低下しても、中間生成物や有機物が残るため、CODやTOCも測定して処理後の水質を評価しましょう。
OZACでは、活性炭含有担体に微生物を定着させ、曝気槽で生物処理を行います。オゾン処理と生物処理を組み合わせることで、有機物の酸化と分解を進める仕組みです。
処理の安定性は、フェノール濃度だけでなく、共存成分や水温、pH、流入負荷などにも左右されます。水質変動が大きい工場では、流入条件の変化を把握し、実際の運転条件で処理性能を確認することが重要です。
OZACは、既存の調整槽や曝気槽などを活用した導入を検討できる排水処理システムです。既存水槽を利用できれば、水槽の増設や全面的な設備更新を避け、工事や設備投資の負担を抑えられます。
後付けで導入できるかどうかは、設置スペースや水槽の容量、配管、電源、排水の性状などによって決まります。導入前に現場を確認し、必要な工事や、工事中の操業への影響、運転切り替えの手順を検討しましょう。
化学工場の難分解性有機物を含む廃水を対象に、OZACを用いたラボ試験が実施されています。この事例はフェノール排水そのものを対象とした試験ではありませんが、オゾン処理と生物処理を組み合わせた際の水質変化を知る参考になります。
対象となった廃水は、化学工場の製造工程から排出されたもので、試験前のCOD(化学的酸素要求量)は9,000mg/Lでした。有機物の濃度が高い廃水であり、処理方法の検討が必要な水質でした。
OZACを用いた試験では、オゾンマイクロナノバブルによる酸化処理と生物処理を組み合わせ、CODが9,000mg/Lから420mg/Lまで低下しました。
この試験では、処理後のCODが大幅に低下したことが確認されています。ただし、この結果だけでフェノールの分解性能や排出基準への適合を判断することはできません。フェノールを含む排水への導入を検討する際は、実際の排水を用いてフェノール濃度や処理後の水質を測定し、必要な性能が得られるかを確認しましょう。
| 項目(mg/L) | 試験前 | 試験後 |
|---|---|---|
| BOD | 270 | 21 |
| COD | 9,000 | 420 |
| SS | 120 | 13 |
| 透明度 | クリーム色、濁り(中) | 透明度(中) |
メディア監修
引用元:エンバイロ・ビジョン公式HP(https://www.envirovision.jp/)
OZACは、エンバイロ・ビジョンが提供するオゾン排水処理システムです。
特許技術のマイクロナノバブルを活用し、排水・洗浄設備の能力向上など多様な環境ニーズに応えるサービスを提供。稼働実績は全国20施設※(プラント)以上(2026年3月時点)にのぼります。
発電所・食品工場・化学工場をはじめとした、水質管理基準や導入審査が厳しい国内大手企業を中心に採用されています。
実際の排水を用いたサンプルテストに対応しています。処理後の水質は、外部機関による客観的な分析データとともにレポートとして確認できます。導入に向けた社内稟議や、技術的な比較・検討へお役立てください。
日本の産業を支える水。しかしその裏側では、終わりのない薬剤投入や高騰する産廃コスト、そしてGX-ETSの義務化が重なり、排水処理は多くの企業にとって無視できない経営課題になりつつあります。
当メディアは、既存設備を活かしながら薬品・汚泥レスを実現する次世代の「オゾン排水処理システム」を、業種ごとの課題と導入事例を通じて伝えていくメディアです。この技術は、単なるコスト削減にとどまらず、環境負荷の低減と企業の成長を両立させる排水処理の転換点になると私たちは考えています。排水処理の常識を変えるこの技術を、一社でも多くの企業に届けていきます。